成績は悪くない。塾からの宿題や言われたこともやっている。
それでも、難しい問題や初めて見る問題になると、手が止まる。
ミスが多く、リズムを崩すと、立て直すのに時間がかかる。
自分で計画を立てて、やりきるところまでは、なかなか進まない。
「力はあるはず。やり方がかみ合えば、もっと伸びる!」
テスト勉強や受験勉強で、そう感じるお子さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
受験や学習に強い子は、知識や解法だけでなく、「難問に粘る力」「失敗から立て直す力」「自分でやりきる力」を持っています。
こうした、点数だけでは測りにくい力が、いま注目されている非認知能力です。
「難しい問題に向き合えない」「ミスが多く、立て直せない」「計画を立ててもやりきれない」
そういった勉強の悩みの要因は、これらの非認知能力を活かせていないことにあるかもしれません。
2026年9月19日に開催したイベントでは、非認知能力を知識として学ぶだけでなく、自分に合う学び方を考え、明日から試す行動を決めました。
昨年度に続き、ゲストとしてお迎えしたのは、非認知能力研究の第一人者である中山芳一先生です。年間370回を超えるイベントや講演会に登壇され、多くの学校・自治体の教育に関わっておられます。

生徒・保護者様だけでなく、学校の先生方にもご見学いただき、広く「非認知能力」について学びを深める時間となりました。
テストの点数のように一つのものさしで測って比較することができる力を認知能力というのに対して、一つのものさしで測れない力を非認知能力といいます。
例えば、自制心、向上心、忍耐力、レジリエンス、コミュニケーション能力などです。いずれも、共通のものさしで測って比較することはできません。
中山先生は非認知能力について「学力はもういらない。非認知能力だけを高めればいい、ということが言いたいわけではありません。」と伝えました。
コツコツ取り組める。改善点を見つけられる。失敗してもやり方を調整できる。友達と教え合うことが得意。どれも大切な力です。その力をどのような場面で、何のために使うのかを具体的に考えることがより重要です。
中山先生が強調されたのは、非認知能力を活かして、認知能力――つまり学力を高めることです。

非認知能力か、学力か。その二者択一ではない。自分を整え、行動を変え、学び方を改善する。その結果として、学力や進路の可能性を広げていくことが重要だということです。
では、非認知能力を伸ばし、学力につなげるためには何が必要なのでしょうか?
非認知能力を学習に活かすうえで、今回の講演で取り上げられたのが「モニタリング」と「コントロール」です。
非認知能力を司っているのが、前頭前野。おでこのすぐ後ろ側にある、脳の司令塔といわれる部分です。
前頭前野が発達する時期はまず3歳のときで、この頃から「頭の中で話し始める」と言われています。

さらに10歳頃に大きく発達し、この時期から自分を客観視できるようになり、自分で行動を選択することができるようになります。これを「モニタリングコントロール」と言います。
モニタリングとは、自分の状態や行動を客観的に捉えること。コントロールとは、捉えた状態に応じて、次の行動を選び直すことです。この客観視と行動の選択の繰り返しにより、習慣が身についていきます。
「今日は集中できていない」
「この勉強方法では覚えられていない」
「失敗したあと、気持ちを引きずっている」
受験や学習に取り組むうえでは、こうした自分の状態に気づき、必要に応じて、コントロールして行動を調整する力が学力を高める支えになります。
さらに、非認知能力を伸ばすための工夫は、「行動が必要な場面」をあらかじめ想定し、「そのとき、自分はどう動くか」を決めておくことです。
たとえば、勉強を始める前に、次のような行動目標を決めます。
「今日は、粘り強くいこう。難しい問題が出ても、落ち着いて問題を整理して、最後まで取り組むぞ」
先にスイッチを入れておくと、実際に難しい問題が出てきたとき、その場で対応を選びやすくなります。

「きたきたきたぁ。」「待ってました!」
そんな気持ちで、難しい問題を「避けたいもの」ではなく、「決めた行動を試す場面」として受け止めやすくなります。
事前に目標を決めることには、もう一つ利点があります。行動したあとに、「決めたとおりに取り組めたか」を振り返りやすくなることです。
事前に行動目標を設定することで、
「難しい問題に直面したとき、諦めずに取り組めたか」
「途中でやめた場合、何が行動を止めたのか」
「次に同じ状況になったら、どの行動を変えるか」
を振り返りやすくなり、行動を調整しやすくなるのです。
中山先生の講演のあとは、「自分のスイッチ」を具体化するワークショップに取り組みました。
子どもたちがイベント前に実施した事前診断をもとに、どんな状況で、どの非認知能力を発揮して、行動を変えるかを決める「マイミッションカード」を作成しました。
<事前診断で、見える化した特性の視点>
●どんなときに、やる気が出るのか
●どうすれば、続けやすいのか
●どうすれば、理解が深まりやすいのか
●どんな環境や場面で、伸びやすいのか
事前診断では、この4つの視点から、自分が力を発揮しやすい場面や学び方を振り返りました。
これらは「どのような状況なら、その子の力が動き出すのか」を見つけるための視点です。

自分のタイプを把握した後は、今の自分が伸ばしたい非認知能力を選びました。
今回のワークで扱ったのは、次の9つです。
ワークで扱った非認知能力
自制心…
誘惑や感情に流されず、自分をコントロールする力
計画性…
ゴールから逆算し、順序立てて見通しを立てる力
意欲・向上心…
現状に満足せず、より高みを目指そうとする力
自己理解…
自分に合ったやり方を理解し、実行に移す力
忍耐力…
困難なことや退屈なことにも、諦めず取り組む力
自信・自尊感情…
「自分ならできる」と、自分の可能性を信じる力
探究心…
物事に興味を持ち、より深く知ろうとする力
感情調整…
焦りや不安に流されず、自分を立て直す力
レジリエンス…
失敗や困難から、しなやかに立ち直る力
ここで大切なのは、苦手な力だけに注目しないことです。
自分の得意な力を生かして壁を越えるのか。それとも、苦手な力をあえて鍛えるのか。目の前の課題に対して、どちらの力を使うのかを考えることで、行動目標が具体的になります。
自分に向き合い、「どうすれば行動を変えられるのか」を言葉にするのは、簡単なことではありません。それでも子どもたちは、自分自身の課題と向き合い、明日からの行動を決め、仲間や保護者へ宣言しました。
非認知能力を「知って終わる」のではなく、自分の行動として使い始める。その最初の一歩となる時間でした。

去年のイベントにも参加してくれた子は、「非認知能力のワークをしたことをきっかけに、自分の行動をよく振り返るようになり、自分の成長が見えるようになっている。」と、学んだことを日々の生活に生かし、成長を実感している様子を伝えてくれました。
今回のイベントを通して、中山先生から、「自分に向き合って、行動を振り返り、改善していくことは、大人でもなかなか難しいテーマです。この時期の子どもたちが、みんなでじっくりと考えて、話していることに価値がある。」と話していただきました。
読者の皆さんも、次の勉強では、困りそうな場面を一つ思い浮かべ、「そのとき、何をしてみるか」を決めてみてください。終わった後は、「試してどうだったか」「次は何を変えるか」を振り返る。保護者の方も、お子さまと一緒に考えるところから始めてみませんか。
📍「自分の壁に向き合い、明日からの行動が明確になったことがよかった。」
—中1男子
📍「自分の勉強タイプやクリアしたい壁が見える化できたのが良かった。」
—小6女子
📍「非認知能力について知るだけではなく、非認知能力を伸ばすと何につながるかを知れた。」
—中3女子
📍「子どもだけでなく、親自身の行動にも非常に役に立つお話でした。自分自身と向き合って、具体的に行動を決めることができる機会となり良かったです。」
📍「非認知能力を活かすには、子どもと一緒に、振り返り、考えることが大事だとわかりました。わが子が、この時期に非認知能力について考えることができたことがとてもよかった。」
📍「普段の行動から、おそらく計画性が足りないのではと親子で話しておりましたが、より明確になりました。これをきっかけに、先を見通して行動する大切さを意識していこうと思います。」
受験に臨む以上、合格することが第一。類塾プラスは、第一志望合格の実現を最重視します。そのために、類塾プラスでは、一人ひとりの進路を支えるための指導を大事にしています。

自分の強みや資質を知り、目標を立て、行動する。そして、成果を振り返って次の計画へつなげる。このサイクルを通して、子ども自身が「合格までに何をすべきか」「合格の先で何をしたいのか」を描けるように支援しています。
子どもたちの気合いや根性に任せるのではなく、子どもたち一人ひとりが力を発揮できる条件を知り、経験を言葉にし、学習や進路へつなげていくことが重要だと考えているからです。
類塾プラスは、これからも子どもたちが自分の力を知り、自ら進路を切り拓くきっかけとなる学びの場を提供してまいります。
ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

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